手術では、余剰指(趾)の切除を行います。1本の指を単純に切除する場合と、2指から1指を形成する場合の2通りがあります。
<手術前の検査>
採血・尿検査・X線・心電図測定・止血検査(耳たぶにチクッと刺して血が止まるまでの時間を計測)や薬剤(抗生物質等)のアレルギー反応確認など、一般的な手術前検査に準じます。検査時期は、手術の1ヶ月前位(外来)から手術前日(入院中)と病院によって多少違いがあります。
<入院期間>
手術の4~1日前に入院し、手術後数日~3週間程度で退院となります。病院の方針や多指(趾)症の程度、家庭環境、術前検査の日程などによって異なりますので一応の目安としてお考えください。
術後、抜糸や固定の除去・消毒などのために何度か通院し、定期的な検診を通し経過をみます。子どもの場合は、抜糸の不要なテープやダーマボンド(医療用の接着剤のようなもの)等での縫合はほとんどありません。大人と違い、痛みを忘れるのか動き回る傾向にあるため、かなりしっかりと固定されます。
<手術の時期>
1歳前後での手術がもっとも多いようですが、4~6歳ごろや小中学生以降にするケースもあります。
乳幼児の手術の場合は、安全確保のため(暴れたり怖がったりしないようにするため)、基本的に全身麻酔となりますが、縫合等が済んだ段階で麻酔を切るため(負担にならないように短時間でするため)、幼い子の場合 泣きながらの帰還となることが多く、病室に戻る頃にはグッタリしていることもありますが、泣くことは全身麻酔から覚めて、自立呼吸が出来るようになった合図なので安心して下さい。とはいっても親ももらい泣きしてしまいますが…
<手術後の固定>
手術した箇所や点滴箇所は、シーネやギプス、包帯等で固定されます。手術箇所については1~数週間、固定を続けます。手術をした指には、スポンジ等を指の間にはさんだり、細いピンを刺すこともあります。
*手術後のリハビリで装具が必要な場合もあります。
<経過観察のための受診>
手術後1年から数年の間、定期的に行われます。期間は状態や医師の方針によって異なりますが、手術部位を診察時に医師による目視確認等の他に、実際に物を持たせてみたり等をさせて機能面での経過も確認します。
*再手術は、経過観察中に、骨が出っ張ってきたり、指間の開きが悪い等の支障が生じた場合に行います。
日本の先天異常の頻度(対1万児)(1997~ 2005年)
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http://www.jsog.or.jp/PDF/59/5909-246.pdf 参照
日本産婦人科医会―横浜市大国際先天異常モニタリングセンターデータによると全801,267児中の発生率は下記の通りです。
心室中隔欠損 17.4 合指症 5.1 口唇口蓋裂 12.3 十二指腸・小腸閉鎖 5.5
21トリソミー 9.6 鎖肛 5.0 水頭症 7.4 横隔膜ヘルニア 5.4
嚢胞性腎奇形 3.8 二分脊椎 4.6 耳介低位 7.5 口蓋裂 4.3
心房中隔欠損 6.1 耳介変形 4.0 動脈管開存 6.0 臍帯ヘルニア 3.9
口唇裂 5.8 尿道下裂 3.7
多趾症 4.7と多指症 8.1 は合わせると 12.8 と高確率で発症することが見受けられます。
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